出エジプト32章
イスラエルの民が金の子牛を作り、それを礼拝するという重大な背信行為について記されています。この章は以下のように分けられます。
1. 金の子牛の製作 (32:1-6)
モーセがシナイ山に長く留まっている間、イスラエルの民はモーセがどうなったのか分からず、不安を感じます。彼らはアロンに、新しい神を作ってほしいと要求し、アロンは彼らの要望に応じて金の耳輪を集め、それを溶かして金の子牛を作ります。民はこの金の子牛を礼拝し、犠牲を捧げ、乱れた宴会を行いました。
2. 神の怒りとモーセの執り成し (32:7-14)
神はシナイ山でこの出来事をモーセに告げ、イスラエルの民を滅ぼそうとします。しかし、モーセは神に執り成しをし、神の怒りを鎮めようとします。モーセは、神がアブラハム、イサク、ヤコブに与えた約束を思い出すように願い、神は民を滅ぼすことを思い留まります。
3. モーセの怒りと処罰 (32:15-29)
モーセは山を下り、金の子牛と民の乱れた行為を目の当たりにします。彼は怒りのあまり、神から受け取った石の板を山の麓で砕きます。そして金の子牛を焼き、粉々にして水に混ぜ、それを民に飲ませます。モーセはアロンを問い詰め、アロンは民の要求に従ったことを弁明します。
モーセは、神の側に立つ者を呼びかけ、レビ族がそれに応じます。モーセはレビ族に命じて、偶像礼拝に加担した者たちを殺すように命じ、約3000人が殺されます。
4. モーセの再度の執り成し (32:30-35)
翌日、モーセは再び神の前に立ち、民の罪を赦してくれるように願います。もし赦されないのであれば、自分の名を神の書から消してもよいとまで言います。神は、罪を犯した者を罰すると告げますが、モーセに民を導いて行くように命じます。そして、神は民に疫病を送り、罰を与えます。
出エジプト記32章は、イスラエルの民が神に背き、金の子牛を礼拝するという深刻な罪を犯したことを記録しています。モーセは民の罪に対して激しく怒り、神の裁きを下す一方で、民を救おうと必死に執り成しを行います。この出来事は、神の厳しさと同時に、モーセの指導者としての責任感と愛情を強く示しています。
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