出エジプト22章
イスラエルの社会やコミュニティにおける法的規定について説明しています。この章では、特に財産の保護、不法行為に対する賠償、借金、誓いに関する規定が述べられています。以下は、主要な内容の概要です。
1. 盗みと財産に関する法律 (22:1-15)
盗みの罰: 誰かが牛や羊を盗んで殺したり売ったりした場合、その者は5倍または4倍にして賠償しなければなりません。ただし、盗まれた動物が生きたままで見つかった場合は、2倍の賠償で済みます。
自衛と賠償: 夜間に泥棒が家に侵入し、家主がその泥棒を打って殺した場合、家主は殺人の罪に問われません。しかし、昼間に同じことを行った場合は罪に問われる可能性があります。
財産の損害: 誰かが他人の畑やぶどう畑に損害を与えた場合、その損害を補償しなければなりません。例えば、火を使った際にその火が他人の穀物を焼いてしまった場合、その損害に対して賠償が求められます。
2. 信託と貸付に関する法律 (22:7-15)
財産の信託: もし誰かが他人の財産を保管している間にそれが盗まれた場合、犯人が見つかれば2倍の賠償が求められます。犯人が見つからない場合は、保管者が裁判でその財産を自分で盗んでいないことを証明する必要があります。
貸付の規定: 誰かが他人から物を借り、その物が損傷または紛失した場合、その物が借り主の過失によって損傷したと証明されれば、賠償が求められます。
3. 社会的および宗教的義務 (22:16-31)
未婚の処女に対する規定: 男が未婚の処女を誘惑し、関係を持った場合、その男はその女性と結婚するか、適切な持参金を支払わなければなりません。父親がその結婚を拒否した場合も、持参金を支払う義務があります。
宗教的規定: 魔女や魔術を行う者、獣姦を行う者、異教の神々に犠牲を捧げる者はすべて死刑に処されるべきとされています。
社会的弱者の保護: 寄留者、寡婦、孤児を虐待することは禁じられており、これらの者を虐待すると神の怒りを招くとされています。
金銭貸付: 貧しい者に金銭を貸す場合、利子を取ってはならないとされています。また、借主が衣服を担保にした場合、その衣服は日が沈む前に返さなければなりません。
4. 神への献納と尊敬 (22:29-31)
初物の捧げ物: 初穂や初子を神に捧げるべきことが強調され、また動物の初子も7日目に神に捧げるよう指示されています。
神への忠誠: イスラエルの民は聖なる者として行動し、肉を野獣に食べさせてはならないとされています。
この章は、イスラエル社会の秩序を維持し、公平な裁きを確保するための詳細な規定を提供しています。また、社会的弱者の保護や神への敬意を強調することで、コミュニティ全体の道徳的な枠組みを築くことを目指しています。
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