出エジプト20章
神がイスラエルの民に十戒を与える場面が記されています。十戒は、イスラエルの民が神との契約を守るための基本的な律法であり、ユダヤ教やキリスト教の倫理の基礎を成すものです。この章は、神がシナイ山からモーセを通してこれらの戒めを与え、民がそれに従うように命じる場面を描いています。
十戒の授与(1-17節)
神はイスラエルの民に次の十の戒めを与えます。
他の神々を持ってはならない(1-3節)
神は、イスラエルをエジプトの奴隷状態から救い出した唯一の神であり、他の神々を拝んではならないと命じます。
偶像を作ってはならない(4-6節)
神の姿をかたどった像や偶像を作って拝んではならない。神は妬む神であり、不忠実に対して罰を与えるが、愛をもって従う者には恵みを与える。
神の名をみだりに唱えてはならない(7節)
神の名を軽々しく口に出すこと、つまり不敬虔に用いることを禁じます。
安息日を守り、これを聖なるものとせよ(8-11節)
六日間働き、七日目を休息の日とする。この日は神に捧げる日であり、人々や動物までもが働いてはならない。神が六日間で天と地を創造し、七日目に休まれたことを思い出すためです。
父と母を敬え(12節)
父母を敬うことで、イスラエルの民は長く安らかにその地に住むことができるという祝福を受ける。
殺してはならない(13節)
他人の命を奪うことを禁じる。
姦淫してはならない(14節)
結婚における忠実さを守ることを命じます。
盗んではならない(15節)
他人の財産を不正に取得することを禁じます。
偽証してはならない(16節)
他人について嘘をつき、偽りの証言をすることを禁じます。
他人のものを欲しがってはならない(17節)
他人の家、妻、奴隷、家畜、その他の所有物を羨んで奪おうとする心を持たないように命じます。
民の反応とモーセの役割(18-21節)
神がこれらの戒めを与えるとき、民は雷鳴と稲妻、角笛の音、山の煙を見て恐れおののきます。彼らはモーセに、神が彼らに直接語らないようにしてほしいと願い、モーセを通じて神の言葉を聞くことを求めます。モーセは彼らに恐れる必要はないと諭し、神が彼らを試すために臨在したこと、そして彼らが罪を犯さないようにするためであると説明します。
祭壇の指示(22-26節)
神はモーセに、イスラエルの民がどのようにして神を礼拝するかについての指示を与えます。神は、金や銀で偶像を作らないように命じ、また、祭壇を土で作り、その上で焼き尽くすいけにえや和解のいけにえを捧げるように指示します。石の祭壇を作る場合は、切り石を用いず、自然のままの石を使うように命じます。また、祭壇に上る際には、階段を使わないようにし、裸が露わにならないよう配慮します。
出エジプト記20章は、イスラエルの民が神と結ぶ契約の核心である十戒を受け取る場面を描いています。これらの戒めは、神と人間との関係、人間同士の関係を規律し、イスラエルの社会を導く基本的な律法となります。神の言葉を直接聞いた民は恐れを抱きますが、モーセが仲介者としての役割を果たし、神との関係がより深まることになります。また、神の指示に従って正しい礼拝の方法が教えられ、イスラエルの民が神に対する敬意と礼拝の態度を正しく保つことが求められています。
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