出エジプト12章
スラエルの民がエジプトから脱出するための準備と、その実行に関する詳細が記されています。この章には、過越(すぎこし)の祭りの制定と、最終的な出エジプトの出来事が含まれています。
過越の祭りの制定(1-20節)
主はモーセとアロンに、新しい暦の1月(アビブ月、後にニサン月と呼ばれる)を定め、過越の祭りを守るように命じます。各家族は傷のない一歳の雄羊(または山羊)を取り、14日の夕方にそれを屠り、その血を家の入口の二本の柱と鴨居に塗るように指示されます。家族はその夜、火で焼いた肉と苦菜、無酵母パンを食べ、急いで旅立つ準備を整えながら食事をします。
この儀式は、エジプト全土に死の災いが降り注ぐとき、主がその血を見てその家を「過ぎ越す」ことを象徴しています。この日を記念して、イスラエルの民は世々にわたって過越の祭りを守るように命じられます。また、七日間の無酵母パンの祭りも同時に制定されます。
初子の死(21-30節)
モーセはイスラエルの長老たちに、過越の祭りを行うよう指示し、主がエジプトの初子を撃つときに過越すための手順を教えます。その夜、主はエジプト全土を巡り、エジプト人の初子、さらには家畜の初子をも打ち殺します。エジプト全土に悲しみの叫びが響き渡り、これまでにない大きな嘆きが起こります。しかし、イスラエルの家には災いが及びませんでした。
イスラエルの出エジプト(31-42節)
ファラオはその夜モーセとアロンを呼び寄せ、ついにイスラエルの民をエジプトから出て行かせることを許します。イスラエルの民は主が命じた通りに、エジプト人から銀や金の装飾品、衣服を求め、それを受け取ります。イスラエルの民は男女合わせて約60万人の成人人口を持つ大集団となり、430年に及ぶエジプトでの滞在の後、エジプトを脱出します。
過越の規定(43-51節)
主はモーセとアロンに過越の祭りに関する追加の規定を与えます。異邦人や外国人の奴隷は割礼を受けなければ過越を食べることはできない、骨を折ってはいけない、家の中で食べなければならないなどの詳細な規定が定められます。この規定に従って、イスラエルの民は世々にわたり過越の祭りを守ることとなります。
出エジプト記12章は、イスラエルの民がエジプトを脱出する劇的な出来事と、それに先立つ過越の祭りの制定について記述されています。過越の祭りはイスラエルの民が奴隷状態から解放され、自由を得たことを記念する重要な儀式となり、この出来事はイスラエルの歴史と信仰の中心的な要素として、後世にわたり守られることとなりました。
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